「放射線技師になりたいけれど、何から始めればいいんだろう」「大学と専門学校、どっちがいいの?」「国家試験って難しい?」
——これから放射線技師を目指す人は、たくさんの疑問を抱えていると思う。
僕は地方の総合病院で働く、放射線技師10年目の32歳だ(※2026年時点)。この記事では、放射線技師になるための基本ルートや、現役の僕から言える「学校選び」「国家試験の本音」「なってみてわかった現実」を書いていく。
進路を決めるのは、人生の大きな選択だ。いい面も大変な面も両方知ったうえで選んでほしい。そのための参考になればうれしい。
- 放射線技師になるための基本的な進路
- 大学と専門学校、それぞれのリアルな違い(現役の本音)
- 国家試験の難しさと、勉強のコツ
- なってみてわかった現実と、向いている人
放射線技師になるには?基本の進路

まず、基本ルートを簡単に説明する。放射線技師(正式には診療放射線技師)になるには、大きく次のステップを踏む。
- 文部科学大臣が指定した大学(4年制)または、専門学校・短大(4年制または3年制)で、所定の課程を学ぶ
- 卒業(見込み)によって、診療放射線技師の国家試験の受験資格を得る
- 国家試験に合格し、免許を取得する
つまり、「養成校で学ぶ → 国家試験に合格する」というのが基本の流れだ。国家試験は年1回、毎年2月に実施され、合格発表は3月。合格基準は正答率6割が目安で、近年の合格率はおおむね76〜87%ほどで推移している。
しっかり対策すれば、十分に合格を狙える試験だ。
なお、入試制度や受験資格の細かい要件、学費、国家試験の最新の日程・合格率などは、年度によって変わることがある。正確な最新情報は、各学校の公式サイトや、厚生労働省の診療放射線技師国家試験のページで必ず確認してほしい。
大学と専門学校、どっちを選ぶ?現役のリアルな本音
一番悩むのが、ここ。僕は国立大学の4年制を出ているので、その立場からの本音を正直に書く。
学校選びで、まず確認してほしいこと
意外と知られていないが、放射線技術の学科は物理学を基礎にしている。そのため、大学によっては入試で物理が必須になっていることがある。
僕は高校で生物しか学んでおらず、物理必須の大学は選べなかった。そこで、生物選択でも受験できる大学を探した経験がある。これから目指す人は、まず自分の高校の選択科目で受験できるかを確認してほしい。
そのうえで、僕が伝えたいのは「ここに住みたいと思える場所か」「ここで学びたいと思えるか」という気持ちを大切にしてほしい、ということだ。
4年間(または3年間)を過ごす場所であり、学びの土台になる。偏差値や知名度だけでなく、自分が前向きに通えるかどうかが、長い目で見て大事になる。
大学のメリット:学費・就職・選択肢の広さ
正直に言うと、進路に迷っているなら、僕は大学をすすめたい。理由はいくつかある。
まず学費だ。国立大学は入学の難易度は高いが、学費は専門学校より安いことが多い。さらに、家庭の状況や大学での成績によっては、学費が免除になる制度もある。僕自身、成績による免除制度を利用して、ほぼ入学費だけで通うことができた。これは大きなメリットだった。
次に、学生生活の自由度。大学は専門学校に比べてカリキュラムに余裕があり、自由な時間が多い。サークルやアルバイト、友人との時間など、学生らしい生活を送りやすい。専門学校はカリキュラムが詰まっていて、勉強漬けになりがちだと聞く。
そして就職と将来の選択肢。大学のほうが、規模の大きい大学病院や、倍率の高い市立病院・公務員系の採用で有利な傾向がある。こうした就職先は給料も比較的良い。さらに、大学を出ていれば、大学院に進む道や、医療機器メーカーに就職する道など、将来の選択肢が広がる。
ただし、就職先によっては差が出ないことも
ここは正直に書いておきたい。
一般の病院やクリニックに就職する場合、大学卒でも専門学校卒でも、待遇に大きな差がないことが多い。給料もそれほど変わらない。実際、現場では出身校に関係なく、経験と実力で評価される。
以前、当院に実習で来ていた学生の中に、まったく別の仕事をしてから、専門学校に通い直して放射線技師を目指した人がいた。年齢も経歴もさまざまだが、そうやって学び直してこの道に来た人は、目的意識がはっきりしていて、実習に取り組む姿勢も真剣だった。
学歴や年齢ではなく、その人がどれだけ本気でこの仕事に向き合っているかが、結局は実力を決めるのだと思う。
だから、進路は「どの学校が上か」ではなく、「自分が将来どう働きたいか」で選ぶべきだ。
一般の病院やクリニックで働ければ十分と思うなら、専門学校で3年で資格を取り、早く現場に出るという選択には大きな価値がある。一方で、大学病院や公務員系を目指したい、大学院やメーカーといった道も視野に入れたいなら、大学を選ぶ価値は大きい。
学費、通う年数、将来やりたいこと。それらを天秤にかけて選ぶのが、後悔のない選び方だと思う。
国家試験は難しい?勉強のコツ

国家試験と聞くと身構えるかもしれないが、結論から言うと、しっかり対策すれば、そこまで難しい試験ではない。
勉強の中心は、過去問だ。僕も過去問を繰り返し解くことを軸に勉強した。余裕を持って過去問を振り返り、出題の傾向をつかめば、十分に対応できる。実際、僕の同級生には、1ヶ月ほどの勉強で合格した人もいた。
ただ、ここで一つアドバイスしたい。試験に受かるためだけの短期間の勉強ではなく、できれば時間をかけて、しっかり身につく勉強をしてほしい。なぜなら、国家試験で問われる知識は、就職してから実際に役立つものが多いからだ。試験のためだけに詰め込んで終わりにするより、丁寧に理解しておいたほうが、現場に出てから自分を助けてくれる。
学生時代の臨床実習はどんな感じ?

養成校では、実際の病院で行う臨床実習がある。僕の正直な感想を書くと、実習で一番大変だったのは、朝の早起きだった。
学生生活でのんびりした時間に慣れていると、仕事と同じ時間に合わせて早起きするのが、思った以上にこたえる。さらに、実習後にはレポートの提出もあり、そこが大変だった。
ただ、これも正直に言うと、放射線技師の実習は、看護師の実習のように厳しいものではない。むしろ楽なほうだと思う。早起きとレポートさえ乗り切れば、過度に心配する必要はない。
就職活動のリアル:求人は「運」の要素も大きい

就職活動は、学校に届く求人票を見て、自分で応募する形が基本だった。ここで知っておいてほしいのは、放射線技師の求人は、タイミングによる運の要素が大きいということだ。
いいタイミングで、いい病院の求人が出ることもあれば、なかなか出ないこともある。だからこそ、焦りは禁物だ。早く決めたいからといって、本当は行きたくない職場に焦って応募するのは、おすすめしない。後から、もっといい求人が出ることもあるからだ。
大切なのは、情報収集だ。学校の先生や周りの人から、どの病院がどんな状況か、いつ頃求人が出そうかといった情報を集めておくと、いいタイミングを逃しにくくなる。一人で抱え込まず、周りを頼ってほしい。
なってみてわかった「現実」
ここからは、実際に技師になって10年働いた僕が感じた、リアルな現実を書く。目指す前に知っておいてほしいことだ。
立場や待遇について
正直に言うと、放射線技師は、医療現場でそこまで立場が強い職種ではない。医師や看護師と連携して仕事をするが、その中でストレスを感じる場面も少なくない。また、検査以外に、資料作成のような事務的な雑用も意外とある。
給料についても、大学を出た身からすると、「思ったより多くない」と感じることはある。正直、『これなら専門学校に行って、高校生のときにもっと遊んでおけばよかったかな』と思った瞬間もあった。こうしたお金の現実は、別の記事に詳しくまとめている。

勉強は、ずっと続く
もう一つ知っておいてほしいのは、医療は毎日進化しているということ。だから、就職してからも、学会や勉強会に参加するなど、勉強を続けていく必要がある。続けなくても働けはするが、これからの時代に取り残されてしまうかもしれない。学び続ける姿勢が求められる仕事だ。
放射線技師に向いている人
10年働いてみて、こういう人は放射線技師に向いていると感じる。
- 患者さんの病気を、いち早く見つけてみたいと思える人
- ゲームが好きな人(機械を操作して課題をクリアする感覚に近い)
- 向上心がある人(学び続けられる人)
- きれいな写真(画像)を撮るのが好きな人
そして何より大事なのは、「放射線技師になりたい」と心から思ってなることだ。正直に言うと、この仕事は、仕事そのものを好きになれないと、続けるのが苦しくなってしまう面がある。なんとなくで選ぶより、「この仕事がしたい」という気持ちがある人のほうが、長く楽しく続けられると思う。
まとめ:自分で楽しさを見出せる仕事
放射線技師になるには、大学か専門学校で学び、国家試験に合格する必要がある。学校選びは、自分の将来の働き方(大学病院・公務員系・メーカーを目指すか、一般病院で十分か)から逆算して選ぶのがいい。国家試験は、しっかり対策すれば過度に恐れる必要はない。
そして、最後に伝えたいこと。放射線技師の仕事は、ハマれば、ゲームをするように機械を操って、時間があっという間に過ぎていくような楽しさがある。うまくやればタイパよく働けて、コスパのいい仕事でもある。大切なのは、自分で楽しさを見出していくことだ。
大変な面も正直に書いたけれど、僕はこの仕事を選んでよかったと思っている。これから目指す人にとって、この記事が進路を考えるヒントになればうれしい。放射線技師という仕事の、続けてよかったと思える瞬間については、別の記事にも書いている。



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