「自分は一生で、いったいいくら稼ぐんだろう」。
ある日の昇給後、給与明細を見て年に数千円しか上がっていないのを確認したとき、ふとそんなことを考えた。
放射線技師として10年、32歳になった今(2026年時点)、自分の収入のだいたいの形は見えてきた。それなら、このまま定年まで働いたら生涯でいくらになるのか、リアルな数字で計算してみよう——そう思い立って、自分の給与データをもとに試算してみた。
この記事は、ネット上の平均値ではなく、現役技師である僕自身の数字をもとにした概算だ。同じように「自分の生涯年収ってどれくらいなんだろう」と気になっている放射線技師の参考になればうれしい。
- 現役放射線技師(僕)のリアルな給与データ
- 60歳まで働いた場合の生涯年収の概算
- 昇給で増やせる額が、いかに小さいかという現実
- 生涯年収を増やすために、今からできること
※この記事の金額は、あくまで僕個人のケースをもとにしたざっくりした試算です。給与や退職金は勤務先の病院・地域によって大きく異なります。正確な家計の計算ではなく、あくまで目安として読んでください。
① 僕の現在地(試算の前提となる数字)

まず、計算の土台になる僕自身の数字を正直に開示する。これがこの記事の出発点だ。
- 年齢・経験:32歳・放射線技師10年目
- 年収:約500万円
- 手取り:月25〜27万円ほど
- 賞与:年4ヶ月分くらい
- 昇給:年1,000〜3,000円ほど
地方の総合病院で働く、ごく標準的な放射線技師の数字だと思う。特別に高くも低くもない、リアルな現役の給与だ。この前提をもとに、生涯年収を計算していく。なお、放射線技師の年収がなぜこのくらいの水準で、なぜ上がりにくいのかは、別記事で詳しく書いている。

② 生涯年収を計算してみた

60歳の定年まで働いた場合を考えてみる。僕は今32歳なので、定年まではあと28年。これに、新人時代から今までの約10年分を加えて、ざっくり計算する。
新人の頃は当然もっと給料が低かったので、22歳から32歳までの平均を年400万円ほどと見積もる。そしてこれから32歳から60歳までは、ゆるやかな昇給を少し見込んで、平均で年520〜560万円ほどと仮定する。すると、こうなる。
| 期間 | 給与の累計(概算) |
| 22〜32歳(過去10年・平均400万) | 約4,000万円 |
| 32〜60歳(今後28年・平均520〜560万) | 約1億4,500〜1億5,700万円 |
| 生涯年収の合計(概算) | 約1.9〜2.0億円 |
計算してみて、率直に「2億円か、けっこう多いな」と思った。
でも、これは40年近くかけて稼ぐ総額だ。1年あたりにすれば約500万円、月に直せば手取りで25万円ほど。そう考えると、日々の実感とそう変わらない。
大きな数字に見えても、特別にゆとりがあるわけではない、というのが正直なところだ。
③ 昇給で増やせる額は、驚くほど小さい
ここで、僕がこの試算をして一番ハッとしたことを書きたい。それは、自分の努力で昇給を積み上げても、生涯年収に与える影響はごくわずかだ、という現実だ。
僕の昇給は、年に1,000〜3,000円ほど。仮に毎年3,000円ずつ上がり続けたとして、それを30年間積み上げても、累積で増える額は約140万円にしかならない。生涯年収が約2億円であることを思えば、その差はあまりにも小さい。
もちろん昇給はありがたいし、ゼロよりはずっといい。でも、「真面目に働いて、毎年の昇給を待つ」という方法だけでは、生涯年収の大きさを動かすことはほとんどできない。この事実は、少しショックでもあり、同時に大事な気づきでもあった。
給料が上がるのをただ待つのではなく、別の方法で「自分の手取りと資産」を増やしていく必要がある。そう強く感じたのだ。
④ 生涯年収を「増やす」ために、今からできること
では、昇給に頼れないなら何ができるのか。僕が実際に取り組んでいるのは、大きく3つの方向だ。
収入の柱を増やす(当直・資格・転職)
当直で稼ぐ、資格手当をつける、より条件の良い職場へ転職する。こうした「本業の収入を底上げする」方法だ。特に資格手当は、一度取れば毎月続くので効果が大きい。具体的な方法は、年収アップの記事にまとめている。

支出を減らして「手取り」を増やす
収入を増やすのが難しくても、固定費を削れば自由に使えるお金は増える。僕は通信費や保険、サブスクの見直しで、月1万4,000円ほど支出を減らせた。年間で約17万円。これは生涯年収を増やすのと同じ効果がある。

投資でお金に働いてもらう
そして、お金そのものに増えてもらう方法。僕は新NISAで毎月コツコツ積み立てていて、今のところ評価益は+41万円ほどになっている。昇給で30年かけても140万円なのに対し、投資の力を借りれば、もっと効率よく資産を増やせる可能性がある。

⑤ 退職金や老後は、あてにしすぎないほうがいい
生涯年収を考えると、退職金や老後のことも気になってくる。退職金もいくらかは出るのだが、勤務先の規定を見るかぎり、世間でイメージされる公務員水準ほど手厚いものではなさそうだ。
だからこそ、僕は退職金だけをあてにせず、現役のうちから自分で備えておく必要があると感じている。公的年金、退職金、そして自分で築く資産。この3つを合わせて老後を支える、という考え方が現実的だと思う。
年金や退職金の制度は将来変わる可能性もあるので、なおさら「自分でも備えておく」ことが大事になってくる。
まとめ:数字を知ることが、不安を行動に変える第一歩

僕の生涯年収は、概算で約2億円。決して少なくはない。でも、自力の昇給で動かせるのは30年で140万円ほど。退職金も、思っていたほど手厚くはなさそうだ。
こうして数字にしてみると、漠然としていた不安の正体が、少しはっきりする。そして「ただ昇給を待つ」のではなく、「収入の柱を増やす・支出を減らす・投資でお金に働いてもらう」という具体的な行動につなげられる。
自分の生涯年収を知ることは、不安におびえるためではなく、不安を行動に変えるための第一歩だ。同じように将来が気になっている放射線技師の誰かが、自分の数字と向き合うきっかけになればうれしい。


コメント