「明日からまた仕事か……」。日曜日の夕方、サザエさんが始まる頃に溜息をつく。そんな毎日を繰り返していないだろうか。
20代の頃は、仕事を覚えるのに必死で、ただがむしゃらに走ってこられたかもしれない。でも、30代に入って生活が落ち着いてくると、ふとこんな疑問が頭をよぎる。
「僕は、死ぬまでお金のためだけに働き続けるんだろうか」と。
地方の総合病院で放射線技師として働く30代の僕も、まさにそうだった。検査をこなし、当直に入り、それでも給料は年に数千円しか上がらない。「この繰り返しに、どんな意味があるんだろう」と感じていた。
そんなときに、僕の視界をパッと明るくしてくれたのが、新井和宏さんの著書『幸せな人は「お金」と「働く」を知っている』だった。
この記事では、僕がこの本から学んだ「幸せの正体」と、明日から仕事に向かう足取りが少しだけ軽くなる考え方を紹介する。
『幸せな人は「お金」と「働く」を知っている』とは?

著者の新井和宏さんは、かつて外資系金融機関などで数千億円という天文学的な「お金」を動かしてきた、いわばお金のプロフェッショナルだ。
そんな彼が、鎌倉投信という「いい会社」を応援する投資信託会社を立ち上げ、多くの経営者や働く人を見てきた中でたどり着いたのが、本書のテーマである「お金・働く・幸せ」の三角形だという。
本書は単なる精神論ではない。お金の本質を知り尽くした著者が語るからこそ、一言一言に重みがあり、乾いた心にスッと染み込んでくる。
章立ては「これからあなたたちが生きる世界」「お金を知る」「働くを知る」「幸せを知る」「あなたらしい幸せの見つけ方」「社会を形作るものすべてに感謝を」という流れで、読み進めるうちに自然と自分の生き方を振り返らされる構成になっている。
▶️僕が実際に読んだ『幸せな人は「お金」と「働く」を知っている』はこちら僕の価値観を壊した「3つの衝撃」
この本を読んで、僕が特に衝撃を受けた3つのポイントを掘り下げる。
① お金は「目的」ではなく、ただの「道具」である
多くの人が「年収1,000万円になれば幸せになれる」「貯金が3,000万円あれば安心だ」と、数字を目標にする。僕もずっと、給料という数字ばかりを見ていた。
でも新井さんは、お金があることと幸せはイコールではない、と語る。お金はあくまで、何かを実現するための道具に過ぎない。道具そのものを集めることに必死になり、それを使う目的——どう生きたいか——を忘れてしまうことが、現代人の不幸の根源なのだと気づかされた。
②「働く」とは「傍(はた)を楽にする」こと
僕の中で最も大きな価値観の転換が起きたのが、この考え方だった。「働く」とは「傍(はた)を楽(らく)にする」こと——つまり、自分の周囲にいる人を楽にしたり、喜ばせたりすることだ、という捉え方だ。
これまでの僕は「お金をもらうために働く」と考えていた。お金を目的にしていたから、給料が上がらないと不満が出るし、気の進まない仕事はただの苦行でしかなかった。
でも、誰かの役に立った結果としてお金が付いてくる、お金は目的ではない——そう考えて働いてみると、見える景色が変わった。
検査前に不安そうな患者さんに一声かけて表情がやわらいだとき、後輩が僕の説明で仕事を覚えてくれたとき、「ああ、これが傍を楽にするということか」と実感できた。今の仕事にやりがいを感じるようになり、お金への執着も薄れて、心がとても軽くなった。
③ 幸せは「絶対的なものさし」で決める
「あの人は自分より若くて稼いでいる」「同級生が家を建てた」——SNSを見れば、嫌でも他人の生活が目に入り、自分の幸せが揺らいでしまう。
しかし本書が説くのは、自分の中にある絶対的なものさしを持つ大切さだ。「ありがとう」を相手に求める(他人軸)のではなく、自分が誰かの役に立てたこと自体に満足する(自分軸)。たとえ感謝されなくても、「もっと貢献できるチャンスがある」と捉える。
この「幸せの自給自足」ができるようになれば、職場の人間関係や評価に一喜一憂しなくて済む。他人と比べて落ち込みやすかった僕にとって、これは効果の大きい考え方だった。。
30代の僕が実際に「変えたこと・始めたこと」
本を読んだだけで満足せず、僕が実践した小さな変化を2つ紹介する。
「お礼」を期待しないようにした
仕事で何かを手伝ったとき、「ありがとう」と言われないとイラっとしていた自分に気づいた。今は「自分の修行の場を与えてもらった」と考えるようにしている。不思議なことに、そう思うようになってからのほうが、自然と感謝される機会が増えた。
相手に「ありがとう」と言ってもらうことを目的にしてはいけない。誰かの役に立とうと頑張っても、感謝されないと不満を感じてしまうからだ。見返りを前提にしないほうが、結果的に人間関係はうまく回り始めた。
自分軸を持つようにした
感謝されないと不満に思うのは、他人軸で生きてしまっているということ。そこを一転して、「ありがとう」と言われなかったのは、もっと相手に貢献できるチャンスがあるということ、そんな機会を与えてもらったのだと考える。それが自分軸で生きるということだと学んだ。こう捉えれば、自分も成長できるし、前向きな気持ちでいられる。
この本もおすすめ!
一緒におすすめしたいのが、遠藤洋さんの『働きたくないけどお金は欲しい』だ。今回紹介した『幸せな人は「お金」と「働く」を知っている』と共通する部分が多く、働くこととは「相手を喜ばせること」だという考え方や、それをもとにしたお金の稼ぎ方まで教えてくれる。
この2冊を合わせて読むことで、「心を満たしながら、現実的にお金も手に入れる」という理想のバランスが見えてくる。僕は別記事に『働きたくないけどお金は欲しい』の感想もまとめているので、あわせて読んでほしい。

まとめ:あなたは、どんな「ものさし」で生きますか?

この本は、こんな人にこそ読んでほしい「心の処方箋」だ。
- お金のために働くことに限界を感じている人
- 「いい会社」や「自分らしいキャリア」に迷っている人
- 他人の成功を見て、焦りや嫉妬を感じてしまう人
30代は、まだ人生の序盤だ。今このタイミングで「お金」と「働く」の本当の意味を知ることは、これから先の数十年を「自由で穏やかなもの」にするための、最大級の投資になる。
まずは、コーヒーを1杯飲むようなリラックスした気持ちで、この本を開いてみてほしい。読み終わった後、あなたの「仕事」の見え方は、きっと昨日とは違っているはずだ。

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